待望のジェローム・ベル初期の傑作、『The Show Must Go On』がやっと日本で上演されるということで、久々にさいたま芸術劇場が一杯になっていました。
私が初めてこの作品を見たのは、オランダにいる頃のダンスフェスティバルだったと思う。
ジェローム・ベル、最高!と思った記憶がまだ鮮明に残っている。それこそ、タイタニックが世の中を席巻した直後で、My Heart Will Go Onのくだりは、同時代的に爆笑の渦だった。
で、今回はJapan Castとは言っても、作品の構成&使用するPopular Musicはどれも同じということで、楽しめるのかしら?と思いつつ劇場に向かったわけですが、やー、愉しめてしまいました。
(唯一、MP3プレイヤーのシーンの曲は違いましたが)。
ホント、これを見逃さなくてよかったです。(さすがに遠路はるばる埼玉まで、2日間通うのはヤメましたけど)必見の舞台でした。
ここから、ネタバレ満載で、かつこの作品を初めて見るときは余計な情報なしに観ないと台無しなので、万が一The Show Must Go Onを見たことがない人がいたら、読まないほうがいいと思います。
タイタニックからはもう10年も経っているのに、やっぱりMy Heart Will Go Onのくだりが秀逸です。他の曲は、タイトルの文言をそのまま舞台で表現しているのに対して、My Heart Will Go Onは、その曲と密接に結びついているタイタニックのシーンを、市井のヒトビトがマジメにそしてカッコ悪く舞台上で演じてみせる、そのシチュエーションの可笑しさとそのシーンの振付の絶妙に間の抜けたかんじが白眉。
そして、沈むタイタニック=沈む舞台に黄色のライトでYellow Submarineって、人を小ばかにしたようで、ちゃんとエンターテイメントで、可笑しくて、いささかシニカルで、オシャレでカッコ悪く、この作品のエッセンスを凝縮した場面として、とてもキャッチー。
曲目リストを挙げると…(覚えている限り上演順)
Tonight
Let the sunshine in
Come together
Let's dance
I like to move it
Ballerina girl
Private dancer
Macarena
Into my arms
My heart will go on
Yellow submarine
La vie en rose
Imagine
Take my breathe away
(ここらへんで、『I』のMP3シーン)
Sound of silence
Killing me softly
The show must go on
各シーンで何が行われるかを描写するのはとっても野暮になりそうなので自制しますが、再見でも何が色あせることもなかったというのが驚き。コンセプト系なのに、そして構成は変わっていないのに再見でも愉しめる不思議な作品。
『ダンス』であることに微塵の拘りもなさそうだけれど、ダンスとして愛せる。ダンス好きというか、パフォーミングアーツ好きとしては、純粋に楽しむという意味でも、作品を見て「パフォーマンスとは?」考えるという意味でも、必見であることに間違いはない。
ちなみに、アフタートークはベルの独壇場。あまり進行がうまくいってなかったのだけれど、ベルの話とフランス語同通さんのGood Jobで、アフタートークまでエンターテイニングだった。
そのフランス語同通さんは、前回のベルの早稲田での講演の際に通訳として仕事をした際に、ベルから「パフォーマーとして出てみない?」とオファーを受けて、今回のThe Show Must Go OnのJapan Castとして参加してた(!)とのこと。どうりでアフタートークに通訳さんが現れた時、「どっかで見たことあるなー」と思ったわけだ。
あと、今回は各曲目のタイトルをスクリーンに一曲一曲出していたのだけれど、そのタイミングの指示を出していたのはベル自身だったそうな。そして、大事なMy Heart Will Go Onに行く前に、「そのタイミング間違っちゃったんだ~ゴメン!」と告白してた。うーん、彼自身のキャラクターも相当イイね。というわけで、彼の他の作品も招聘希望だわ。