ついにコジョカルも日本で冠公演をうつようになったんですねー。しみじみ。ローザンヌは遠くなりにけり。
私、決して熱心なコジョカルウォッチャーじゃなく、どちらかというとコボーとのさわやかカップルの演目の賢い選び方とか、スマートだとは思うけどなんかグッとこないのよねーと思っていた輩でした。でも、今日は素直に感動。
ちなみにAプロは日程が合わず、観に行っていません。Bプロも厳しかったのですが、コジョカルのノイマイヤーに興味があり、こちらのプログラムは急遽参戦。
まじまじとプログラムを見ると、コジョカルもつのか?という活躍っぷり。Bプロは4作品に出演。7演目しかないところを…しかも1本は30分ものの小品。ちなみに、プログラム構成には公私ともにパートナーであるコボーがかなりかんでいるのではと邪推。コボーの最近の活動範囲から、そっち系への色気が感じられるので。
さて、そのプログラム構成は、第一部=PDDの競演、第二部=30分の小品、第三部=全員参加(リアコブ除く)のドンキ競演と、見事にカラーが違います。コジョカルにはかなりの負担がかかるプログラム構成ですが、うまい!と呻らざるをえない。見せ方をよく知っていますし、演目チョイスも正統古典、ノイマイヤー、創作1幕もの、ガラお馴染みのディベルティスマンと、真面目さとお祭りっぽさをバランスよく配置しているのが、これまた憎い。
「ラリナ・ワルツ」 コジョカル/カスバートソン/マルケス/コボー/マックレー/ムンタギロフ/ポルーニン
幕開きの賑々しさと、顔見世的演目としてワークしておりました。クラシックのパをあくまで超えない範疇で、かつ現代的なスピーディーさと適度な派手さを織り交ぜつつ、といった風情。その後のPDDの競演に期待をもたせる。振付のリアム・スカーレットは最近よく聞く名前ですねー。
「タランテラ」 マルケス/マックレー
マリボリ・ガラでテリョーシキナとサラファーノフが踊った「タランテラ」とは全く異なる風味のバランシン。(半分元)マリインスキー組が、シャープでキリっとしたクールビューティーなタランテラであったのに対し、ロイヤル組は茶目っ気分量多めなタランテラ。特にマックレーのお茶目な動きはイメージになかっただけに新鮮だった。マルケスはちょっと動きが重い。キュートではあるんだけど、こんなダンサーだったかしら?
「くるみ割り人形 グラン・パ・ド・ドゥ」 クリメントヴァ/ムンタギロフ
ENB組で、どちらも初見のはず。どうやらクリメントヴァはベテランプリンシパル、ムンタギロフは若手プリンシパルらしい。ENBのサイトをちらっと見たら、プリンシパルは「senior principal」と「principal」に分かれている模様。グラン・パ・ド・ドゥは誰版なのかな?見慣れた振付とはちょいちょい違っていました。イーリング版?くるみはあまり見てないからなぁ…。クリメントヴァは、折り目正しく安定感のある、品のある踊りでした。身長があるので存在感あり。ムンタギロフは、勢いある若手にしてはお行儀良い踊り。ENB組の端正なくるみGPDD。
「ディアナとアクテオン」 カスバートソン/ポルーニン
噂のロイヤル突然退団Boyとバッセル風カスバートソン。ポルーニンはワイルド系もイケますといったテクニシャンだし、バレエをやめてしまうには惜しいよなーと。英国メディアが騒ぐわけもわかりました。もう踊りはいいや、だけど約束だから出なきゃいけないし、なテンションでこられたら萎えるわ~と心配してたのですが、そこはプロフェッショナルでした。全幕もので一回見てみたかった。面白い個性も持ってそうなのに。カスバートソンは、前半はまさにバッセルのようなどっしりとした踊りでよかったのですが、後半ちと乱れてしまい残念。コーダの上手奥からのグランジュテのシークエンスの最後でつまづき、その余波からか後のフェッテの踵も落ちてしまっていました。残念。
「椿姫 第三幕のPDD」 コジョカル/リアコブ
リアコブはこの1演目のためだけに来日してくれたんですねー。いい人。しかも、リアコブ先生はやっぱり盤石です。コジョカルは彼とハンブルグで椿姫を踊ったんですね。いいな、見たかったな。というわけで、ちょっと期待以上で胸がいっぱいになる黒衣のPDDでした。リアコブの葛藤と激情、コジョカルの嘆きと激情。前半のマルグリットが憔悴で体をあずけるような振りがあまりにも自然で、「許しを請う」わけではなくただどうしようもなくアルマンの元に来てしまった、その破れた熱情が痛いほど伝わってくる。両者ともに持て余した感情をぶつけ合うPDDは、ガラ公演の1演目とは思えない濃さで放心。
ただし、クライマックスでどこかの大バカ者たちが携帯の着信音を鳴らしてまして…もう、どう言ったらいいのか…ステージの二人に申し訳ない。こういうお馬鹿さんたちは、マックでハンバーガーでも食べて家でバラエティでも見ているのがよろしいかと。
「ザ・レッスン」 コボー/コジョカル/カスバートソン
コボー、こんなにヘンタイが似合っていいのかしら?仮にもロイヤルのプリンシパルなのに。つーことで、コボーはご自分のキャラクターをよく知っている、賢いダンサーということでファイナルアンサー。コジョカルの無邪気なレッスン生が徐々に恐怖の表情を浮かべていくその変貌も見どころではありますが、これはコボーが自分の変態バレエ教師っぷりを見せつける、オレオレ系サスペンスバレエ。挙動不審なバレエ教師が、実は連続○○であったという、30分で見せる作品としてちゃんと起承転結がついてかつ見せ場もあるという面白い作品。よく考えられている。カスバートソン演じるピアニストも、ちゃんと最後にキーとなる場面があったりして。ま、ピアニストはほとんど踊りという踊りはないですが。あと、美術も秀逸。
いや、でもやっぱりコボーの変態ちゃんキャラが見どころであると断言しましょう。この作品、もうコボー以外で観たいと思わないな。
「ドン・キホーテ」 コジョカル/カスバートソン/クリメントヴァ/マルケス/コボー/マックレー/ムンタギロフ/ポルーニン
ちゃんと最後は楽しい演目で締めます。抜かりなし。ひたすらに技巧を見せる、楽しいディベルティスマン。コジョカルとコボーのアダージョは、コジョカルの驚異的なバランスに喝采。ロイヤル+ENB男子チームの跳躍と回転の競演はただただ興奮もの。(いつから英国バレエ界はこんな技巧派男子をリクルートするようになったんだ?)ちゃんとコボーも踊ったし。マックレーのテクニシャンっぷりはここでも光っておりました。ポルーニンも凄かったけど、私としてはムンタギロフの王子然としたところと、ガラで盛り上げ役もできますというオールマイティーなところに感心。彼、そのうちロイヤルに移籍しそうな予感がするな…。
こんなところで、とにかくコジョカルは彼女の芸の広さと八面六臂の活躍(休憩をはさむとは言え、3演目連続出演だし)を見せてくれて、これからはコジョカル公演も逐一チェックしないとなーと思わされた一夜でありました。