第13回世界バレエフェスティバル <プログラムB> 8月11日マチネ
2012年 08月 11日
Aプロではロパートキナ一人が別次元で、他の組はなんだかデジャヴ演目が多く、ダンサー同士の火花が散るようなフェスらしいフェスではなかったのに比べて、Bプロは断然面白かったです。しかし、長かった…腰痛くなるかと思いました。あと、Aプロはパリオペ陣の存在感がロシア組に圧倒されていたのに対して、パリオペ陣のメンバーが増えたのもBプロのポイントでしょうか。テクニック的な部分での各組のプライドのぶつかり合いと、円熟組の至芸とがいいかんじのミックスになって、フェスらしいフェスだったかと。
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル
この二人は身体能力に長けているのだから、物語バレエに欲を出さずに純粋ダンスに行ったほうがいいんじゃないかと思いました。プティパっぽいバランシンでしたが。軽さやスピードに乏しいのが、プティパっぽさになってしまったのかしら、と。Aプロと同様、オープニングはバランシン。
「パルジファル」
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン
正直、このメンバーの中では存在感が薄かったです。せめて、ベジャール鉄板作品だったらもう少しインパクトを残せたのではないかと思いますが、あまりベジャールらしい動きや意匠がある作品ではなかったのが残念。そう考えると、やっぱりガラ形式の公演にはジルなんでしょうかねぇ。定点観測的ロマンのアダージェットが観たい。
「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
上野水香 マシュー・ゴールディング
作品的に仕方ないんですが、ゴールディングはサポート担当。サポート担当に徹するダンサーは、なぜかいい人に見えます。サポートされながらの回転のパが多いんですが、タイスにしては回転に勢いがあり過ぎる気がします。ていうか、東バのダンサーがプティを踊るんですねぇ、とそちらのほうが焦点なんでしょうか。作品選びがどうも私には同意しかねる部分です。
「エフィ」
マライン・ラドメーカー
ゲッケの作品は、Aプロでフォーゲルがやはり後ろ向きで登場してくる上半身裸のソロ作品を踊っております。つまり、背中の筋肉フェチってことでいいんでしょうか→ゲッケ。フォーゲルに「オーランド」(ヴァージニア・ウルフです)の全幕作品を作ったはずなんですが、あの痙攣多発、作品のうち2/3以上は後ろ向きという振付スタイルで、どうやって全幕ものを作れるんでしょうか…。
「ライモンダ」
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー
登場から度肝を抜かれるのはその衣装。蝶ネクタイのジャン・ド・ブリエンヌです。ロホのライモンダは青のスカートドレス風チュチュ。ね?フェスっぽい遊び心でしょ?という雰囲気が一気に第一部から漂ったのは、このロイヤル組の趣向のおかげ。衣装の趣向だけじゃないのが、このお二人の本領。マックレーの鮮やかなシェネからのザンレールと、ロホの定番フェッテトリプルが踊りの面からも祭り感を演出。演目を見て、「えー?ロシア組じゃないライモンダってどうよ?」と思っていた私をお許しください…。
「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
今回のバレエフェス、唯一の(!)マクミラン作品。マクミランのロミジュリって、クランコ版などと比べると官能度高めな振付なんですが、この二人の振付は小さいところにいろいろと手が加えられていて官能度合は少な目。パートナーシップはもちろんパーフェクトで言うことないのですが、このPDD、男性ダンサーの勢い溢れる若さが見せ場の一つという意味では、コボー先生はちょっと厳しいかなぁと。
「ウィズアウト・ワーズ」
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ
裸祭りですかね、今日のテーマは…、とやや不安になったデュアト作品。美しいラインの二人が美しいポーズをつないでいく振付なのですが、え?デュアト?と。
「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン
超!楽しみにしていた、ルテステュとビュリョンの椿姫だったんですが…ビュリョンのアルマンは、ガラの短い時間でも激情するリアコブ先生のアルマンと比べると、ちと大人しいです。全幕で観ると違うんでしょうか。あと、ルテステュがなんだか重そうだったのが気になりました。全幕でガシガシ踊りこんでいるはずのこのペアの割には、リフトが超スムーズ!ではなかったのが、ルテステュの動きにあった気がして。
「ラ・シルフィード」第2幕より
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団
「可愛いだけじゃ、ダメかしら?」って声が聞こえてきそうな、オブラスツォーワのシルフィード。いいんだと思います、だってラシルってそういう話だから。そういう意味では、愛らしさダダ漏れなオブラスツォーワってまさにラシルにぴったりのダンサーなんだなぁ、と。ああ、でもラシルは私、ブルノンヴィル版のほうが好きなんです。あと、サポートやリフトに何があるわけではなく、というかむしろスムーズなパートナリングなんですが、オブラスツォーワとガニオの間に踊りのケミストリーを感じない。
「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット"
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン
ブシェの脚線美にホレボレ。膝下の長さが尋常じゃない。そしてその美しさに劣らぬ、ボアディンのシンクロっぷりがノイマイヤー好きにはたまらない。
「シェエラザード」
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー
セミオノワは、どうしても健康美が目立ってしまい、シェエラザードの妖艶な色気というよりは楽しく踊り明かすって雰囲気なのが好みじゃありませんでした。身体能力は凄いんですけど。ゼレンスキーはAプロに引き続き、奴隷パンツ姿の上半身の柔らかな色気に惚れ直しました。柔らかでありながら、ダイナミックな跳躍も健在。
「アザー・ダンス」
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト
POB組のロビンスを見て、改めてルグリ先生の偉大さを知りました。アザー・ダンスのデフォルトがルグリで刷り込まれてしまっています。ルグリと踊るときは対等なのに、この作品では明らかにデュポンがリードしていました。デュポンのロビンス、抜くところは抜くその洒脱さが見事。オファルトは緊張している様子が伝わってくる踊り。生真面目に踊っているのですが、抜きの部分がないので面白くない。ロビンスは真面目に踊るだけじゃダメなのねぇ、と思わせる演目でした。
「海賊」
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ
海賊@バレエフェスは、「どや」でいいんです。昔ほど乱暴でもなく、でもきっちり盛り上げるパを入れてくるのはさすがオシワシ組。オシポワのヴァリエーションは、珍しい曲と振付ものもでした。後からyoutubeで見てみたら、これの7:25あたりからのヴァリエーションだったようです。
http://www.youtube.com/watch?v=QQXDy3sqWBA
いきなり跳躍のパから入るヴァリエーションゆえ、オシポワにぴったり。跳躍のパというか、もはや地に足をつけている時間のほうが短いシークエンスでした。 グランフェッテも、前半は足替えを入れつつ、後半はダブル。やるならこれくらいやらなきゃ、とレベルを上げまくった海賊。
「ル・パルク」
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
マラーホフがちゃんとルパルクを踊れるんだ、という事実にほっとする。チュー&振り回しリフトも不安げなくこなしていました。ヴィシニョーワは、POBダンサーズのルパルクとは違い、ど直球の色気に完敗。マラーホフを見ているのか、それともここではないどこかを見ているのか。
「コール・ペルドゥート」
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ
デュアトのザハロワですかー。一昔前は想像もしなかった組み合わせ。ザハロワは、もう古典に興味がないのでしょうか。私は今回のバレエフェスで、ザハロワはコンテのほうが良いと認識しました。特にメルクーリエフと踊るとザハロワのコンテも全く違和感がありません。コーカサス方面を思わせる音楽と強さのある振付。
ちなみに私、この作品を2001年オランダで、Introdansというカンパニーが上演したのを観たことあるみたい。
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス
もう、ここらへんから怒涛のプログラミングです。ロパートキナのダイヤモンドは、ルテステュのダイヤモンドとは全く趣が異なります。ルテステュのダイヤモンドが、輪郭のはっきりしたパでポーズをつないでいくものであるとすれば、ロパートキナのダイヤモンドはすべての動きがよどみなく流れるようにつながっていくダイヤモンド。それも、ゴメスのサポートの安定感あってのことでしょうか。
「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ
アイシュヴァルトのタチアナは至芸。何度見ても、手紙を破ってからのやりとりは泣けてきます。一瞬たりとも目が離せないので、目が乾く乾く。クランコの振付も、タチアナ、この場面で心揺れすぎでしょうというくらい、縋り付きしなに背を向けるというやりとりの繰り返しなんですが、もう音楽のチョイスと相まって滂沱。
「ドン・キホーテ」
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン
シムキンはありとしても、サレンコのキトリがトリなのはいささか荷が重いのではないかと思いましたが、想定外にサレンコが気を吐いていました。シムキンは珍しく回転系のパの絶対的安定感を欠いていましたが、アダージョに片手リフトは長時間頑張ってました。サレンコが気合に満ち満ちていたのは、アダージョ、ヴァリエーションのバランスでみせていた箇所やコーダのグランでトリプルをキメてきたところ。やや踵が落ちてしまった場面もありましたが、緊張感が伝わってきたところも含めて、トリの役割を十分務めていたと思います。
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル
この二人は身体能力に長けているのだから、物語バレエに欲を出さずに純粋ダンスに行ったほうがいいんじゃないかと思いました。プティパっぽいバランシンでしたが。軽さやスピードに乏しいのが、プティパっぽさになってしまったのかしら、と。Aプロと同様、オープニングはバランシン。
「パルジファル」
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン
正直、このメンバーの中では存在感が薄かったです。せめて、ベジャール鉄板作品だったらもう少しインパクトを残せたのではないかと思いますが、あまりベジャールらしい動きや意匠がある作品ではなかったのが残念。そう考えると、やっぱりガラ形式の公演にはジルなんでしょうかねぇ。定点観測的ロマンのアダージェットが観たい。
「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
上野水香 マシュー・ゴールディング
作品的に仕方ないんですが、ゴールディングはサポート担当。サポート担当に徹するダンサーは、なぜかいい人に見えます。サポートされながらの回転のパが多いんですが、タイスにしては回転に勢いがあり過ぎる気がします。ていうか、東バのダンサーがプティを踊るんですねぇ、とそちらのほうが焦点なんでしょうか。作品選びがどうも私には同意しかねる部分です。
「エフィ」
マライン・ラドメーカー
ゲッケの作品は、Aプロでフォーゲルがやはり後ろ向きで登場してくる上半身裸のソロ作品を踊っております。つまり、背中の筋肉フェチってことでいいんでしょうか→ゲッケ。フォーゲルに「オーランド」(ヴァージニア・ウルフです)の全幕作品を作ったはずなんですが、あの痙攣多発、作品のうち2/3以上は後ろ向きという振付スタイルで、どうやって全幕ものを作れるんでしょうか…。
「ライモンダ」
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー
登場から度肝を抜かれるのはその衣装。蝶ネクタイのジャン・ド・ブリエンヌです。ロホのライモンダは青のスカートドレス風チュチュ。ね?フェスっぽい遊び心でしょ?という雰囲気が一気に第一部から漂ったのは、このロイヤル組の趣向のおかげ。衣装の趣向だけじゃないのが、このお二人の本領。マックレーの鮮やかなシェネからのザンレールと、ロホの定番フェッテトリプルが踊りの面からも祭り感を演出。演目を見て、「えー?ロシア組じゃないライモンダってどうよ?」と思っていた私をお許しください…。
「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
今回のバレエフェス、唯一の(!)マクミラン作品。マクミランのロミジュリって、クランコ版などと比べると官能度高めな振付なんですが、この二人の振付は小さいところにいろいろと手が加えられていて官能度合は少な目。パートナーシップはもちろんパーフェクトで言うことないのですが、このPDD、男性ダンサーの勢い溢れる若さが見せ場の一つという意味では、コボー先生はちょっと厳しいかなぁと。
「ウィズアウト・ワーズ」
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ
裸祭りですかね、今日のテーマは…、とやや不安になったデュアト作品。美しいラインの二人が美しいポーズをつないでいく振付なのですが、え?デュアト?と。
「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン
超!楽しみにしていた、ルテステュとビュリョンの椿姫だったんですが…ビュリョンのアルマンは、ガラの短い時間でも激情するリアコブ先生のアルマンと比べると、ちと大人しいです。全幕で観ると違うんでしょうか。あと、ルテステュがなんだか重そうだったのが気になりました。全幕でガシガシ踊りこんでいるはずのこのペアの割には、リフトが超スムーズ!ではなかったのが、ルテステュの動きにあった気がして。
「ラ・シルフィード」第2幕より
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団
「可愛いだけじゃ、ダメかしら?」って声が聞こえてきそうな、オブラスツォーワのシルフィード。いいんだと思います、だってラシルってそういう話だから。そういう意味では、愛らしさダダ漏れなオブラスツォーワってまさにラシルにぴったりのダンサーなんだなぁ、と。ああ、でもラシルは私、ブルノンヴィル版のほうが好きなんです。あと、サポートやリフトに何があるわけではなく、というかむしろスムーズなパートナリングなんですが、オブラスツォーワとガニオの間に踊りのケミストリーを感じない。
「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット"
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン
ブシェの脚線美にホレボレ。膝下の長さが尋常じゃない。そしてその美しさに劣らぬ、ボアディンのシンクロっぷりがノイマイヤー好きにはたまらない。
「シェエラザード」
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー
セミオノワは、どうしても健康美が目立ってしまい、シェエラザードの妖艶な色気というよりは楽しく踊り明かすって雰囲気なのが好みじゃありませんでした。身体能力は凄いんですけど。ゼレンスキーはAプロに引き続き、奴隷パンツ姿の上半身の柔らかな色気に惚れ直しました。柔らかでありながら、ダイナミックな跳躍も健在。
「アザー・ダンス」
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト
POB組のロビンスを見て、改めてルグリ先生の偉大さを知りました。アザー・ダンスのデフォルトがルグリで刷り込まれてしまっています。ルグリと踊るときは対等なのに、この作品では明らかにデュポンがリードしていました。デュポンのロビンス、抜くところは抜くその洒脱さが見事。オファルトは緊張している様子が伝わってくる踊り。生真面目に踊っているのですが、抜きの部分がないので面白くない。ロビンスは真面目に踊るだけじゃダメなのねぇ、と思わせる演目でした。
「海賊」
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ
海賊@バレエフェスは、「どや」でいいんです。昔ほど乱暴でもなく、でもきっちり盛り上げるパを入れてくるのはさすがオシワシ組。オシポワのヴァリエーションは、珍しい曲と振付ものもでした。後からyoutubeで見てみたら、これの7:25あたりからのヴァリエーションだったようです。
http://www.youtube.com/watch?v=QQXDy3sqWBA
いきなり跳躍のパから入るヴァリエーションゆえ、オシポワにぴったり。跳躍のパというか、もはや地に足をつけている時間のほうが短いシークエンスでした。 グランフェッテも、前半は足替えを入れつつ、後半はダブル。やるならこれくらいやらなきゃ、とレベルを上げまくった海賊。
「ル・パルク」
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
マラーホフがちゃんとルパルクを踊れるんだ、という事実にほっとする。チュー&振り回しリフトも不安げなくこなしていました。ヴィシニョーワは、POBダンサーズのルパルクとは違い、ど直球の色気に完敗。マラーホフを見ているのか、それともここではないどこかを見ているのか。
「コール・ペルドゥート」
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ
デュアトのザハロワですかー。一昔前は想像もしなかった組み合わせ。ザハロワは、もう古典に興味がないのでしょうか。私は今回のバレエフェスで、ザハロワはコンテのほうが良いと認識しました。特にメルクーリエフと踊るとザハロワのコンテも全く違和感がありません。コーカサス方面を思わせる音楽と強さのある振付。
ちなみに私、この作品を2001年オランダで、Introdansというカンパニーが上演したのを観たことあるみたい。
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス
もう、ここらへんから怒涛のプログラミングです。ロパートキナのダイヤモンドは、ルテステュのダイヤモンドとは全く趣が異なります。ルテステュのダイヤモンドが、輪郭のはっきりしたパでポーズをつないでいくものであるとすれば、ロパートキナのダイヤモンドはすべての動きがよどみなく流れるようにつながっていくダイヤモンド。それも、ゴメスのサポートの安定感あってのことでしょうか。
「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ
アイシュヴァルトのタチアナは至芸。何度見ても、手紙を破ってからのやりとりは泣けてきます。一瞬たりとも目が離せないので、目が乾く乾く。クランコの振付も、タチアナ、この場面で心揺れすぎでしょうというくらい、縋り付きしなに背を向けるというやりとりの繰り返しなんですが、もう音楽のチョイスと相まって滂沱。
「ドン・キホーテ」
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン
シムキンはありとしても、サレンコのキトリがトリなのはいささか荷が重いのではないかと思いましたが、想定外にサレンコが気を吐いていました。シムキンは珍しく回転系のパの絶対的安定感を欠いていましたが、アダージョに片手リフトは長時間頑張ってました。サレンコが気合に満ち満ちていたのは、アダージョ、ヴァリエーションのバランスでみせていた箇所やコーダのグランでトリプルをキメてきたところ。やや踵が落ちてしまった場面もありましたが、緊張感が伝わってきたところも含めて、トリの役割を十分務めていたと思います。
by enterachilles
| 2012-08-11 23:19
| dance review